診療のご案内

循環器疾患は専門的に診療できます。
心不全や動脈硬化の原因となる、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の治療に重点をおいています。
風邪や便秘、不眠など、よくある症状の診療も勿論行います。

狭心症

走ったり、重いものを持ったり、階段を昇ったりした時に、胸が締め付けられるように苦しくなり、休んでいると5分ほどでよくなる、というのが典型的な狭心症の症状です。これは、心臓に酸素や栄養を送っている血管である、冠動脈に動脈硬化が生じ、労作時に、心臓の血のめぐりが悪くなるために起こります。動脈硬化が無くても、血管が痙攣して狭くなるタイプの狭心症もあり、その場合は、夜中や朝方に症状が出やすいという特徴があります。胸が苦しいという症状を胸痛と訴える場合もあります。また、痛みが顎や肩から腕へ放散する事もあります。臍から上の痛みは狭心症である可能性が否定できません。

狭心症と診断するのは実のところ簡単ではありません。心電図を1枚撮ったり、採血したぐらいでは診断には至りません。診断には詳細な問診と専門的な検査が不可欠です。検査は、心臓超音波検査、ホルター心電図検査(24時間心電図検査)が基本で、心筋シンシグラム検査や冠動脈CT造影で疑いが強ければ、カテーテルを使用した冠動脈造影検査まで必要になります。

狭心症ではあっても冠動脈造影で異常がない場合があり、冠攣縮性狭心症か微小血管狭心症と診断されます。

治療は薬物治療が基本ですが、動脈硬化で狭くなった血管は、薬を飲んでも正常には戻りません。薬だけでは症状が良くならない事も多いです。その場合は、カテーテルという細くて長い管を血管の中に通して、冠動脈の狭くなった所を風船で広げて、ステントという金属の筒を挿入する治療や、他の血管を冠動脈に繋げるバイパス手術が治療法になります。

冠攣縮性狭心症であれば薬が奏功します。微小血管狭心症は、効果がある薬の種類が限られるため注意が必要です。

動脈硬化を進展させないためには、コレステロールや血圧、血糖の管理が重要であり、喫煙されている方は、禁煙する事も必要です。

高血圧

血圧が上(収縮期)140mmHg、下(拡張期)90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。

血圧が高くても通常何も症状はありません。ですから治療したとしても良くなる症状があるわけではありません。

ではなぜ血圧を下げた方がいいのか。それは血圧が高いと心臓や内臓に負担がかかり、動脈硬化も進行し、最終的には心不全や心筋梗塞、脳梗塞になったり、腎不全になって透析をする事になったり、閉塞性動脈硬化症で足を切断する事になったりしやすい、という事が昔から分かっているからです。

血圧を下げる目的は、今ある症状をよくするためではなく、将来の病気のリスクを下げるためなのです。ですから治療を開始したとして、その効果が得られるのは数年先の話です。

高血圧の原因の多く(90%)は本態性といわれる原因が特定できないものです。塩分の摂り過ぎ、水分の摂り過ぎ、運動不足、ストレス、自律神経、遺伝、などの要因が複合的に合わさったものです。あとの10%は、血圧を上昇させるホルモンが大量に分泌されている病気が原因で、採血や尿検査でその可能性が検索できます。

血圧の目標値は、年齢や合併している病気の有無によって異なります。血圧値の指標は安静時のものであるため、家庭での血圧測定が重要です。健診や病院で測ると高くても、家では高くない方も少なくありません。また、逆に家で測った方が高い場合もあります。家庭で血圧を測る場合は、朝起きてすぐ、安静にして測るのが基本です。一日2回測るなら、あとは夜寝る前、これも安静にして測ります。

高血圧の治療は、塩分制限を主とする食事療法、下半身の筋力をつける事を主とする運動療法、そして薬です。薬は多くの種類があり、患者さん個々の効果や耐容性を確認しながら調節・変更して投与します。

心不全

心臓は血液を循環させるポンプにたとえられます。なんらかの原因で心臓の血液循環ポンプとしての機能が破綻した状態が心不全です。原因は虚血性心疾患や心筋症、弁膜症、不整脈、高血圧、などです。心不全を予防するには、まずはそれらの治療をしっかり行う事です。その治療には、カテーテル治療やペースメーカ、手術なども含まれます。心不全になってしまった場合は、利尿薬や血管拡張薬、強心薬で急場をしのぎ、長期的な効果を期待してβ遮断薬やアンジオテンシン返還酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬などの薬を使います。

心不全が慢性化すると入退院を繰り返すようになります。入院の回数を減らすことが治療の目標になります。そのためには在宅で呼吸を補助する器械をつけることもあります。また、症状が強い場合は、いわゆる緩和医療の対象にもなります。

薬は、血圧、心拍数、体重を指標とし、レントゲン、心電図、心臓超音波、採血などの検査結果をみながら適した薬が適量、組み合わせて投与されます。患者さん毎に薬の内容は異なります。また、入院時のみならず外来でも調節を必要とする場面が少なくなく、それには経験ある医師の専門的判断が必要になります。

心房細動

心臓は電気で動いており、心臓の中には電気の配線があります。心臓の右上の場所に発電所(洞結節)があり、通常はここから規則正しく電気が発生してきます。それとは無関係に電気が発生して、無秩序に電線に電流が流れる状態が心房細動です。そのため乱れた脈になり、脈拍は速くなる事が多いです。症状としては動悸を感じることが多いですが、何も症状が無い事も珍しくありません。健診などで偶然みつかる事も多いです。

心房細動になったからといって、すぐに命に係わる事はありません。問題は2点あり、一つは、心不全の原因になりうる事、もう一つは脳梗塞などの塞栓症の原因になりうる事です。

心不全を防ぐには、薬物治療による心拍数のコントロールが重要です。心房細動自体を起こらなくする抗不整脈薬は、それが効果的では無い方も少なくなく、最近はカテーテルを使用して心臓の中から不整脈の電気の回路を焼き切る治療が行われています。

心房細動になると心臓の中に血の塊(血栓)が出来る事があり、それが剥がれて飛んでいくと血流にのって行きつく先の血管で詰まります。それが頭(脳)の血管であれば脳梗塞の原因になります。心房細動があると5~10倍脳梗塞になりやすく、重症の脳梗塞を発症しやすい特徴があります。その可能性を下げるには、血を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を内服する事が必要です。高血圧や糖尿病などの合併があったり、ご高齢の患者さんは脳梗塞の発症リスクが高いため抗凝固薬を内服する事が推奨されます。

閉塞性
動脈硬化症

足に向かう血管が動脈硬化を起こした場合、血のめぐりが悪くなり、足の痛みやしびれが出現する事があります。初めは歩いた時に症状が出現しますが、病状が進行すると安静時でも症状が出現します。さらに進行すると足先から壊死してきます。これが閉塞性硬化症の症状です。神経障害からくる症状との鑑別が必要ですが、両方合併している方も少なくありません。診断には問診と、足の脈の触れを確認し、四肢血圧脈波検査を行う事が基本です。この病気が強く疑われた場合は造影検査が必要になります。治療は血液をサラサラにする薬の内服が必要で、狭くなった血管を広げるカテーテル治療や他の血管からバイパスを繋げる手術が行われる事も多いです。

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